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 【平昌・神足俊輔】平昌冬季五輪でスケートやアイスホッケーなど氷上競技の会場がある江陵(カンヌン)市では大会前、観戦客や関係者が滞在するホテルなどが不足するという懸念が広がった。それに伴い、宿泊料金が通常の3〜5倍と極端に高騰するという「ぼったくり」報道があった。現状はどうなっているのか。

 江陵市は日本海に面した海沿いのリゾート地で、観光の最盛期は夏。五輪が開催されている2月は例年、宿泊料金は底値に近い。五輪に向け、高級ホテルやビジネスホテルも増えたが、簡素なモーテルやベッド単位の相部屋で宿泊するドミトリーも多い。

 同市で五輪期間中の宿泊を担当する職員によると、開会中の宿泊料金は「平均すると、1年で最も高い夏くらい」で、冬季としては例年の2倍程度。担当職員は「ビッグイベントなので、適正な価格ではないか」と話す。同市がある行政区の江原道(カンウォンド)が、法外な値段を付けていた宿泊業者に対して、税務調査や建築法に基づく指導を実施すると発表したことなどもあり、開会前に懸念された高騰は起きなかった。

 そもそもなぜ、ぼったくり騒動が起きたのか。現地の宿泊施設関係者によると、五輪の約1年前からスポンサーやメディアなどから宿泊に関する問い合わせが多くなった。その際、通常は1泊10万ウォン(約1万円)以下のモーテルが「50万ウォン(約5万円)で」と答えたことが始まりとされ、「ぼったくり」のうわさが広まったという。

 あるホテル支配人は「高い宿泊料で契約したケースはないと聞いている」といい、担当職員は「当初は五輪期間中の宿泊料をいくらに設定していいか分からなかったのではないか」と推測する。

 一方、予約の状況は施設のクラスでばらつきが出ている。高級ホテルやビジネスホテルクラスは大会スポンサーや各国のオリンピック委員会などの関係者に貸し切りにされ、ほぼ満室で、一般客を受け入れていないところが多いという。

 その下のクラスは、インターネットで予約ができるかどうかで違いが出た。市中心部のモーテルは昨年末まで予約率が約40%だったが、今年に入り大手宿泊サイトに登録すると、約90%まで上がった。

 ただし、サイト登録していないモーテルの情報はネットに掲載されないため、空き室があることが海外からの観戦客には分からない。そのため、登録している宿泊施設に予約が集中しており、ドミトリーの中には1泊5万ウォン(約5000円)程度が、15万ウォン(約1万5000円)と相場の3倍近くに高騰しているケースもある。