対戦型ゲーム競技「eスポーツ」 プロ資格獲得懸けた初の大会
2月10日 19時23分 NHKニュース
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180210/k10011324231000.html?utm_int=news_contents_news-main_004

対戦型のコンピューターゲームを競技として行う「eスポーツ」で、10日からプロ選手のライセンス制度が始まり、プロ資格の獲得を懸けた初めての大会が開かれました。
「eスポーツ」は、欧米や韓国、中国など世界各地で盛んで、高額の賞金を懸けた大会が開かれています。

日本でも「eスポーツ」を普及していこうと、10日からプロ選手のライセンス制度が始まりました。千葉市の会場にはプロを目指す若者などが大勢集まり、家庭用ゲーム機での格闘ゲームや、スマートフォン用のパズルゲームで腕を競いました。

プロのライセンスは、大会で優秀な成績を挙げた人に発行されることになっていて、優勝した大学生の男性は「プロ化でeスポーツの認知が広がり、イメージが変わればうれしい。好きなゲームをもっと練習して腕をあげたい」と話していました。

会場では、過去の実績からすでにプロの資格を持ち、10日、正式にライセンスが発行されたプロ選手どうしの大会も開かれ、総額1000万円の賞金をかけたシューティングゲームで熱戦を繰り広げていました。

プロライセンス制度を運営管理する「日本eスポーツ連合」の浜村弘一副会長は「eスポーツで遅れていた日本もプロライセンスの制度がようやく動きだした。選手を育成する環境が整い、アジア大会などの国際大会で勝てる選手が出れば、認知が広がり、ソフト販売だけに依存していたゲーム産業の構造が変わっていく」と話していました。

■eスポーツとは

「eスポーツ」は、「エレクトロニック・スポーツ」の略で、対戦型のコンピューターゲームをスポーツの競技として行います。

欧米や韓国、中国では、高額の賞金がかかった大会が開かれ、プロの選手の対戦を、大きなスクリーンが設けられた会場で応援したり、インターネットを通じて観戦したりして楽しむことができ、大会を運営する会社は入場料や放映権料などの収入が得られます。

また、4年に1度開かれるアジア最大規模のスポーツの祭典「アジア大会」では、ことし開かれるインドネシア大会で公開競技に、2022年の中国・杭州の大会では正式競技に採用されることが決まっています。

オランダの調査会社「ニューズー」は、eスポーツの世界全体での市場規模がおととしはおよそ537億円に上り、2020年にはおよそ1621億円に拡大すると予測しています。
さらに、ネットによる視聴者を含めた観客の数は、2020年には、おととしの1.8倍に当たる6億人近くに伸びると予測しています。

家庭用のゲーム機が早くから普及した日本のユーザーにとって、ゲームは、オンラインで不特定の第三者と対戦して腕を磨くというより、身近な友達や家族と楽しむものと捉える人が多いのが実情です。

さらに、法律で多額の賞金が出る大会を開きにくいこともあって、eスポーツは、なじみが薄いのが現状です。

こうした中、今月、ゲームソフトメーカーなどでつくる新たな団体「日本eスポーツ連合」が設立され、プロの選手としての活動を認められる基準を作ってライセンスを発行したり、プロの選手が参加する大会の開催を公認したりすることで、日本で本格的に普及させる活動に乗り出しました。

選手にとっては、プロになれば、賞金に加え企業のサポートを受けやすくなって、「eスポーツ」で生計を立てることも可能になり、練習に専念しさらに腕を磨くことができるようになると期待されています。

一方、ゲーム業界としては「eスポーツ」のプロ選手が誕生して市場が活性化すれば、ソフト販売の売り上げだけでなく大会の放映権料やネット配信、グッズなどの売り上げも見込めるとしています。