昨年12月28日、中山で行われた2017年最後のG1、第34回ホープフルステークス
(芝2000メートル)は、1年を象徴するような結果になった。

クリスチャン・デムーロ(Cデムーロ=25、イタリア)騎乗のタイムフライヤーが優勝。
ホープフルステークスと大阪杯が新たにG1に昇格し、中央競馬の平地G1は年間24戦に増えたが、
Cデムーロの勝利で外国人騎手が過半数の13を占めたのだ。

最多勝はクリストフ・ルメール(38)に決定済み。ルメールは同日は勝てず、05年の武豊(48)以来の年間200勝は逸したが、
2位の戸崎圭太(37)には28勝差。さらに、3位でCデムーロの兄、ミルコ・デムーロ(Mデムーロ=39)は
戸崎と同じ171勝。前年まで3年連続最多勝の戸崎は、2着数の差で辛くも2位を守った。

ルメールの最多勝は史上初めて、タイトルが外国人の手に落ちたことを意味する。
15年3月にルメールとMデムーロが同時に中央競馬の通年騎手免許を手にした時点で、この事態を予測した人も多かろう。

15、16年は戸崎が立ちはだかり、特に16年は最後の有馬記念当日まで続いた競り合いの末、1勝差(187勝)で首位を守った。
だが、17年は戸崎が下半期に失速し、最多勝の座を明け渡した。

昨年の特徴をもう一つ挙げれば、上位3人への勝ち星の集中である。ルメール、戸崎、Mデムーロの3人で計541勝。
平地3329競走の16.3%に当たる。

08〜15年まで、勝利数上位3人の合計は、14年が407勝だったのを除いて354〜395勝で推移していた。
ところが、16年は508勝と急増。戸崎とルメールに続く3位の川田将雅(32)が135勝で、Mデムーロは132勝を挙げた。
昨年はMデムーロが勝ち星を39も伸ばし、4位の福永祐一(42)に55勝差をつけた。「3極体制」が確立されたのである。

勝ち星は「3極」でも、大レースは「2極」だ。重賞勝利数は6つのG1を含めて18勝のMデムーロが圧倒。
計14勝でG1も4勝したルメールが続き、戸崎はG3の4勝だけ。日本人騎手で存在感を示したのは武豊で、
キタサンブラックでG1を4勝したほか、G2、G3を計9勝し、両外国人以外で唯一、重賞2桁勝利となった。

武以外の日本人で平地G1複数勝利は2勝を挙げた川田のみである。

G1では短期免許で来日した外国人も活躍した。ジャパンカップはヒュー・ボウマン(37、オーストラリア)のシュヴァルグランが勝ち、
翌週のチャンピオンズカップはライアン・ムーア(34、英)のゴールドドリームが優勝。

Cデムーロのホープフルステークスを加えて、過半数の平地G1を外国人騎手が勝利した。ムーアはG2、G3も1勝ずつで、Cデムーロは重賞4勝。
このほか、アンドレア・シュタルケ(44、ドイツ)、アンドレア・アッゼニ(26、イタリア)も重賞を1つずつ勝っている。

結局、外国人騎手は平地重賞128競走のうち42戦を制したことになる。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25503970Q8A110C1000000/