J2アビスパ福岡のDF冨安健洋(19)がベルギー1部シントトロイデンに移籍することで大筋合意したことが5日、分かった。近く正式に契約が結ばれる。

2020年東京五輪世代の主力として期待される冨安について、クラブはJ1昇格に不可欠な戦力として慰留に努めた。

だが、福岡の下部組織出身選手として初の五輪、ワールドカップ(W杯)出場を見据える若い才能の活躍の場を世界に広げることがクラブの未来にもつながると判断。億単位の移籍金で送り出すことを決断したもようだ。

 福岡が生んだ“最高傑作”の固い意思を尊重した。昨季、J2では規格外のパフォーマンスでリーグ最少タイ36失点の守備を支えた冨安には海外クラブのほか、J1の強豪も獲得に興味を示した。クラブは下部組織出身の冨安の強い海外志向を受けて熟考を重ね、活躍の場を海外に広げることが本人とクラブの未来のためのベストな選択だと判断。移籍金が発生する本格的な海外移籍はクラブ初とみられる。

 シントトロイデンは、昨秋に日本のネット関連会社「DMM.com」が100%株式を取得。クラブの象徴となり得る日本人の若手有望株の調査を進め、高い能力と伸びしろを持つ冨安を選んだ。欧州のクラブがJ1やフル代表でほぼ実績のない日本人プレーヤーを億単位の移籍金をかけてまで獲得に動くのは、異例と言える。

 福岡のクラブ史に刻まれる移籍を果たす冨安は、これまでも数々の記録を残してきた。中学から福岡の下部組織に入り、高校2年だった2015年にトップチームの公式戦出場が可能となる2種登録をされ、同年の天皇杯でクラブ史上最年少の公式戦出場を果たした。16年に高校3年でプロ契約を結ぶと、同年7月には17歳8カ月8日でクラブのJ1最年少出場。そのままレギュラーに定着した。

 「アジアの壁」と呼ばれた元日本代表DFの井原正巳監督らによる指導と、チーム一と誰もが認める練習量で、大器はさらに成長。身長188センチの恵まれた体格を生かした守備だけではなく、ボランチも務めた足元の技術や百戦錬磨のFWも駆け引きで封じるクレバーさも持つセンターバックになった

センターバックになった。


 今年もJ1自動昇格圏の2位以上を目指す福岡にとって中心選手の移籍は痛い。それでもクラブの進化のために勇気ある一歩を踏み出した。

 ◆シントトロイデンVV 1924年に創設されたベルギー1部のプロサッカークラブ。ホームタウンはベルギー東部のシントトロイデン市。同国1部と2部の昇降格を繰り返し、2015〜16年シーズンに1部へ復帰。同シーズンには小野裕二(J1鳥栖)もプレーした。17〜18年シーズンは21試合を終えて16チーム中6位。昨年11月に日本のネット関連会社「DMM.com」が経営権を取得した。

 ◆冨安健洋(とみやす・たけひろ)1998年11月5日生まれ。福岡市出身。三筑キッカーズから福岡U−15(15歳以下)を経て同U−18へ。2015年の高校2年時にトップチームに2種登録され、同年10月14日の天皇杯3回戦・町田戦で公式戦デビュー。翌16年にトップチームに正式に昇格し、J1リーグ戦10試合出場。昨年はJ2で35試合に出場し、3月19日の熊本戦でプロ初得点。昨年5、6月のU−20W杯では日本の16強入りに貢献した。188センチ、78キロ。

2018年01月06日 06時00分西日本新聞
https://www.nishinippon.co.jp/sp/nsp/avispa/article/384521/

写真
https://www.nishinippon.co.jp/import/avispa/20180106/201801060002_000.jpg?1515186076

https://www.nishinippon.co.jp/import/avispa/20180106/201801060002_001.jpg?1515186076