格闘イベントの「RIZIN FIGHTING WORLD GRAMD−PRIX2017」が29日、さいたまスーパーアリーナで開幕したが、
この日の注目カードだったプロレスラー、神取忍(53、LLPW−X)対人類最強女子格闘家、ギャビ・ガルシア(32、ブラジル)のスペシャルワンマッチがギャビの体重オーバーのため中止となった。

試合は、95キロ契約で行われる予定で、前日計量で神取は73キロでクリアしたが、ギャビが、12.7キロオーバー。大会主催者側は、約35キロに及ぶ体重差で試合を強行することを危険と判断したが、
神取が強く試合続行を希望したため、12月31日に仕切り直して試合を行う方向で再調整が進められた。

しかし、大会サイドが、ギャビ自身から聞き取りを行った結果、「ギャビのメンタルを考えるとベストなパフォーマンスも出せないと判断した」(榊原信行・実行委員長)と中止を決定した。
 
榊原実行委員長によると、ギャビは12月に入って通常通りのルーティンで食事制限をするなど減量をスタートしていたが、体重が思うように落ちず、そのことを周囲に相談もできず、血圧があがり、
ホルモン異常が起きるなどの体調不良を訴えたという。ただ理由がどうあれ計量をクリアできない契約不履行はプロ失格だ。

この日、会場では第4試合が終了した時点で、突然、場内に神取―ギャビ戦のあおり映像が流され神取がジャージ姿でリングに登場してマイクを持った。
「ほんとに悔しい、ほんとに残念。この1年、人生をかけ、ギャビを倒すためにやってきた。31日やらせてくれと言いました。ルールがあっての対戦。昨年は私がケガをしてしまった。2人の体調が整ったら是非戦いたい」
MMAラストマッチの大舞台への梯子を外された“被害者”の神取は終始厳しい表情だった。

昨年は試合9日前に神取が練習中に肋骨を2本折るアクシデントを起こし、急遽、盟友の堀田祐美子が代役出場でギャビに秒殺されていた。2年続けてのアクシデントに不運のミスター・女子プロレスラーは沈痛な面持ちだった。
続けてRIZINの高田延彦統括本部長がリングに上がり、この試合が中止に至った経緯をファンに説明すると会場はブーイングに包まれた。

「選手の安全を考えると戦わせるわけにはいかない。組織の管理の甘さ。これを教訓にファン期待のワンカードをなくさないように努力したい」
神取は再戦を要求したが、高田統括本部長は「本当にやれんのか」と詰めよった。

「やるに決まってんだろう」神取の返答に怒気がこもっていた。
次に高田統括本部長は、リングにギャビを呼び込んだ。「食いすぎだ!」の野次が飛ぶなど、場内は再び大ブーイング。

ギャビは涙ながらに謝罪した。

「ごめんなさい。日本の皆さんと神取選手に心よりお詫びしたい。人として神取さんは尊敬できる選手。私の失態。健康状態が悪くて準備ができなかった。
ファンの期待を裏切った。これからの行動でお返しをしたい。強くなって帰ってくるのでまだチャンスを下さい」

コーナーで聞いていた神取はギャビに歩み寄り握手を求めた。 
ギャビはリングの中央で正座して“土下座謝罪”を繰り返したが、ブーイングは鳴りやまなかった

「誰でも失敗がある。これで終わりじゃない」
高田統括本部長がフォローしたが、再戦を容認する拍手は生まれなかった。

つづく

12/30(土) 5:00配信 THE PAGES
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