「書く側」と「書かれる側」のせめぎ合い
――週刊誌を読まれて、内容を周囲の方と話したりされますか? 

東野 いや、週刊誌を嫌いな芸人さんも多いですからね。芸人も取材対象になるでしょう。「嘘八百書きやがって」って怒っておられる方のほうが若干、多いと思っているんです。僕の目の前で、週刊誌の文句を言う先輩もいますよ。そういう時は、黙って頷いていますね。

 両方の気持ちが分かるんですよ。週刊誌の人からすれば、写真を撮ったり、情報を掴めば、記事にしますよね。人気がある芸人だからこそ記事になるということもある。とはいえ僕も芸人ですから、「プライバシーもあるから、ここまで書かれると怒るのも分かるなあ」という気持ちにもなります。

 書きたい側と、書かれたくない側のせめぎ合いというものは、やっぱり面白いです。僕ら芸人だけでなく、吉本だってせめぎ合っているわけですよ。色んなことを書かれて腹が立つこともあれば、又吉(直樹)(37)が芥川賞を受賞して、いいことをたくさん書いてもらったたこともある。結局は持ちつ持たれつということになるんでしょうけど。

――最近の週刊誌に対して、どんな感想をお持ちですか? 

東野 そんな「週刊誌に物申す」なんてことを言うつもりは全くありせん。ただ、お世辞抜きに木曜が楽しみというのはあります。

「文春」と「新潮」って、この間も中吊り広告の問題があったりして、激しく戦っているじゃないですか。当事者の方々は大変でしょうけど、関係ない僕たちからすると面白い(笑)。

 どんどん戦ってほしいですし、果敢に色んなことに挑戦してほしいですね。

連載は「芸人のスケッチ」
――連載を執筆したいと思われたきっかけは? 

東野 昔はネタを書いていましたけど、今は書いていません。テレビタレントの仕事をしていると、やっぱり物事を深く考えることが少なくなっていくんですよ。胡散臭いところもある仕事じゃないですか。
何日も前から準備するわけでもなく、現場の瞬発力が全てでしょう。「頭を使わないと、それこそ呆けてくるぞ」という気になってきたんですね。

――吉本の方に、連載先を探してくれと頼まれたそうですね。

東野 本当に「無名の雑誌でもいいです、週刊誌でも月刊誌でもいいです」と言って、探して下さいとお願いしたんです。
だから「『週刊新潮』に決まりました」と連絡があった時には驚きました。「そんなに大きな出版社じゃなくていいのに」と思ったぐらいです。

――パソコンで執筆されているんですか? 

東野 iPhoneのメモを使っています。又吉みたいに考えに考え抜いた文章を連ねていくんじゃなく、ふわぁーっと雰囲気で、2時間半ぐらいで一気に書いてしまいます。
もう10本ぐらい書いているんですけど、担当編集の方には『どれだけ直して下さっても結構です』とお伝えしています。

――どんな内容の連載ですか? 

東野 僕の周りにいる芸人のスケッチです。できるだけ先輩を描きたいと思っているんですけど、やっぱり挨拶をしないといけないじゃないですか。
そろそろ書ける先輩が少なくなってきているので、年末年始にまとめて挨拶をするつもりです(笑)。

 残念ながら、ここでインタビューは時間切れ。

 終了後、『闇に消えた怪人』(新潮社)などで知られる一橋文哉氏の著作を「全部読みました」と笑顔を浮かべるなど、本当に週刊誌の世界がお好きらしい。ちなみに連載第1回の「スケッチ」は、西川きよし氏(71)だという。