米国の軍事行動などに伴う朝鮮半島有事にあたり各国が自国民を避難させる非戦闘員退避活動(NEO)について、韓国政府が米国以外とは各国軍の活動に関する協議を拒否していることが15日、分かった。このため日本政府は、自衛隊の
航空機と艦艇の活用に向け、カナダやオーストラリアなど有志連合で韓国政府と協議する検討に入った。協議の枠組みとしてティラーソン米国務長官が提案した国連軍派遣国会合を有志連合会合に改編することも視野に入れる。

 NEOでの自衛隊の活用には韓国政府の同意が必要だが、韓国では自衛隊に抵抗感が強い。そのため
日本政府は米国やカナダなどを中心とした有志連合の一角として、各国軍と連携した形で自衛隊を派遣することを検討している。

 NEOについて、韓国政府は米国との協議を受け入れている。一方、複数の日本政府高官によると、
自衛隊の活動に関する日本との協議を拒んでいるほか、カナダやオーストラリアなどとの間でも各国軍に関する協議を拒否していることが判明した。

 背景には文(ムン)在寅(ジェイン)大統領ら左派特有の価値観があるとみられる。元駐韓外交官は
「在韓基地がある米国は例外として、極力、支援や介入を避けようとの意識ではないか」と指摘している。

 韓国国内には多くのカナダ人やオーストラリア人がいるため、各国政府も自国軍を派遣するNEOの計画策定が
進まないことに危機感を強めている。日本政府は個別に働きかけるより、各国が一致して韓国政府に協議を求めるのが得策だと判断している。

 協議の枠組みはティラーソン氏が提案したものの年内開催が見送られた国連軍派遣国会合の参加国を
絞り込み、改編する案もある。

 朝鮮戦争で編成された国連軍は17カ国で構成され、朝鮮半島情勢と縁遠く、韓国にいる自国民も少ない
エチオピアやコロンビアなどが含まれる。協議の参加国が増えると機微な情報が不必要に拡散する恐れがある。

 それらの国を除外した上で国連軍構成国に日本が加わる会合に改編すれば、NEOで協力する有志連合の
メンバー国と重なり、その後の連携も円滑化できる。

 昨年12月に施行された再犯防止推進法に基づく法務省の再犯防止推進計画策定を前に14日、上川陽子法相が和歌山県内の法務省関連施設を視察した。女性受刑者専用の和歌山刑務所(和歌山市加納)では受刑者の現状や女性刑務官の職場環境に
ついて職員と意見交換した。
 今回の視察は、刑務所を出た人の再犯を防ぐ取り組みを国と自治体の責務と明記した同法に基づく再犯防止推進計画
の策定が今月中に迫る中、再犯防止に関わる現場職員らの意見収集のため実施。上川氏は1泊2日で大阪、和歌山の
2府県の刑務所や更生保護施設など法務省関連施設を中心に訪れた。
 この日は和歌山市内の和歌山地方法務局や更生保護施設「端正会」で人権擁護委員や保護司らと意見交換をした後、
和歌山刑務所を訪問。上川氏は鈴木礼子所長に案内され、工場で受刑者が働く姿や夜間に生活する「収容棟」を視察した。
 続いて20〜40代の女性刑務官8人と職場環境の改善に向けた意見交換会が行われ、上川氏は全国で平成23〜25年度
に採用した女性刑務官の3年以内の離職率が43・2%と高いことを踏まえ、「意見をもとに、ハードな職場で継続して働いて
いただくためにどのような制度が必要かを思い描きたい」とあいさつ。意見交換会は非公開で、持病や精神疾患を抱えた受刑者、日本語を話せない外国人受刑者の現状や、離職率の高い女性刑務官の仕事と結婚、育児との両立に向けた課題などについて意
見が交わされたという。