「今日のチームはプレースピードが遅く、横パスが多かった。前線の選手もあまり背後を狙わず、引いて足元でもらうシーンが多かった。
背後を狙う動きには連動が必要だが、それを持たせるのは簡単ではない」とは、試合後のハリルホジッチ監督のコメントだ。

さらに、「初めて集まって一緒にプレーするチームなので、あまり厳しい目で見るべきではない。代表が初めての選手もいる。不運な怪我で離脱した選手もいたが、
彼らが残っていればより質の高いサッカーが見せられたと思う。ただし、今日の試合よりも良いゲームを見せられたかどうかは確約できない」とも発言。
もはやその言葉からは、自分の采配で戦況を変えて勝利を呼び込むという監督としての意欲を感じることはできない。

こうなると、本番までに残された時間の中で指揮官がする仕事は選手個々の成長を待つだけ、ということになってしまう。
そもそも今大会に臨むにあたって指揮官が公言していた“国内組のメンバー最終選考会”もすっかりトーンダウンした印象がある。

そもそも監督の起用法次第で選手のパフォーマンスは変わるものだ。逆にいえば、采配が悪ければ選手のパフォーマンスは低下するし、チームが機能することもない。
そういうサッカーの本質的な部分から目を逸らす指揮官の力量に希望を見出すのは難しいと言わざるを得ない。

手持ちの駒をやりくりしながら、相手を攻略する。それがW杯本番でやろうとしているハリルホジッチ監督の戦い方だ。だとすれば、経験の浅い選手を多く集めている今回の急造チームを
「いかにして勝てるチームにまとめあげられるか」という点が、W杯への試金石となるはずだ。

そういう意味で、実は今大会こそが「監督の能力を見極める絶好の機会」なのである。
ハリルホジッチ監督は「国内組の最終テスト」と位置付けたが、むしろ「監督の能力テスト」として注目したほうが、よっぽど大会の見どころも増える。

残された2試合、12日の中国戦と16日の韓国戦でサッカーファンはあらためてそこにフォーカスしてみてほしい。

(取材・文/中山 淳 撮影/佐野美樹)

【サッカー】<ハリルホジッチ監督>目指す「縦に速いサッカー」日本代表に不向きか?★3
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