試合後、不可思は「さすがだなと思いました。強かったです。距離のタイミングがつかめなかった。今日は100点中3点。負けない自信があったので、途中まで付き合ってしまったのがダメでした。でも、あのまま蹴り続けていれば勝ったと思うんですよ。最後のラッシュはお客さんが喜ぶかなと」とコメント。顔面に傷跡を残すことが珍しい不可思の額には大きなタンコブが。「これと歯をやられました」と半分欠けた前歯を笑いながら見せていたが、会見が終わると「放送席まで飛んで来ました」とこの日、テレビのゲスト解説をしていた那須川天心が折れた歯を届けて来た。

「ライト級の白いベルトは獲れなかったけど、スーパーライト級のトーナメントは優勝してベルトを赤く染め上げてやりますよ」

 来年に向けて、不可思はさらに目をギラつかせながら、インタビューブースを後にした。不可思を見ているとKNOCK OUTの闘いを通じてビッグになってやろうという強い野心を感じる。金原がかつての自分と重ねて挑戦表明したのは、そこに魅力を感じたからである。スーパーライト級のトーナメントでは、不可思がスターになるための足掛かりになるような活躍をして、KNOCK OUTのステージを森井とともに引っ張ってもらいたい。

取材・文・写真 / どら増田