そして、日本にとってもっとも厄介な相手は、初戦で当たるコロンビアだ。ブラジル大会で1−4と大差で負けた南米の強豪だが、日本は南米勢との相性が圧倒的に悪い。過去のW杯を振り返っても、決勝トーナメント進出を逃した大会では同グループに決まって南米のチームがいた。

 南米勢を苦手にしている理由は、サッカーに対する彼らの価値観が日本人とは異質だからではないかと思う。彼らの自由な発想力、したたかさ、駆け引きのうまさは、生真面目で正直な日本人の想像を超えたところにある。日本が組織的に試合を進めていても、彼らの型破りなプレーで綻びを突かれて、結局はやられるパターンが多いのはそのためだ。

 ブラジル大会ではベスト8に進んだコロンビアは、その成績を上回るだけの戦力が整っている。ケガで前回大会を欠場したラダメル・ファルカオは昨年からモナコに戻って好調を維持しており、今夏バイエルンに移籍したハメス・ロドリゲスは、試合に出場しながらコンディションを上げている。

 そんなレベルの高い選手たちを指揮するのは、アルゼンチン人のホセ・ペケルマン監督。自国代表を率いた経験もある老練な指揮官のもとで、状況に応じて戦い方を変えられるチームを築いている。DFラインからビルドアップするだけではなく、相手に合わせてロングボールを使うなど、あらゆる方法で相手を揺さぶってくる。

 しかし、そんなコロンビアも初戦にピークを持ってくるとは考えにくい。もちろん、初戦がグループリーグ突破のために重要なのだが、1カ月に及ぶW杯を戦い抜くために、強豪国の多くはコンディションのピークを決勝トーナメントに合わせてくる。

 対して、グループリーグ突破が目標の日本は、「初戦で負けたら終わり」という覚悟で臨むべきで、ピークを初戦に設定して、コンディションの差をアドバンテージにしたいところだ。試合開始直後からプレッシャーをかけ、最初の20分間でコロンビアに「おかしい」と思わせられたらチャンスは生まれるだろう。

 たとえば、2002年日韓大会でW杯連覇を狙ったフランスは、コンディションが上がりきっていない初戦で、セネガルにまさかの敗退。そのまま、1勝どころか1ゴールも奪えずに大会を去った。それと同じように、日本が初戦のコロンビアから勝ち点「1」でも奪うことができれば、グループリーグ突破に一歩近づくはずだ。

 その準備のためには、来年3月に予定されている2回の強化試合がポイントになる。本戦出場を逃した国の中でベストな対戦国は、コロンビアを想定してチリ、セネガルを想定してカメルーンではないかと思う。特に、南米の強豪であるチリが、アルトゥーロ・ビダルやアレクシス・サンチェスを入れたベストメンバーで臨んでくれれば、この上ないテストマッチになる

つづく