20年の東京五輪で、坂本勇は31歳になっている。
今季のセパ新人王である中日・京田や西武・源田ら、球界では次々と有望な遊撃手が台頭しているが、近年の日本代表の遊撃を守り続けてきた誇りがある。
13年WBCでは25打数6安打の打率2割4分、15年プレミア12では30打数6安打の2割と振るわなかったが、
今年のWBCでは24打数10安打の打率4割1分7厘とチームの準決勝進出を支えた。
式典の司会者から、将来的なメジャー挑戦を心配する声について問われると、「全然、大丈夫です」。東京五輪出場に、障害はない。

 恩返ししたい気持ちもある。坂本勇は、稲葉監督が現役だった09年に初めて一緒に食事をともにした。それ以降は、指揮官が打撃コーチを務めた今年のWBCはもちろん、
ことあるごとに助言をもらってきたという。「相談に行ったら、いつも親身になってアドバイスをしてくれました」。
先日のアジアチャンピオンシップで侍ジャパンが優勝した際、指揮官の胴上げが不完全だったことにも触れ、
「重くて上がっていなかったみたいなので、(東京五輪で優勝し)しっかり胴上げしたい」と頼もしかった。

 侍指揮官からの公開ラブコールを受ける前には、ゴールデン・グラブ賞の表彰式に出席した。今季日本一のソフトバンクから最多の4人が選出されたため
「守備が大事ということが表れている。サードもセカンドも、みんなで取れるように目指したい」
と、吉川尚や岡本ら自軍の後輩たちの尻をたたくことも忘れなかった。(尾形 圭亮)