クラブの最大目標「J1定着」へ、北海道コンサドーレ札幌が経験豊富な指揮官に全権を託す。

来季の監督に、7月までJ1浦和を指揮したミハイロ・ペトロヴィッチ氏(60)が就く事が30日、分かった。同日までに仮契約を結んだ事をクラブ側が明かした。

広島、浦和で多くの選手を育てた実績を持つ同氏の手腕に、札幌側は「チームメソッドの確立」を見込み、招へいを決めた。トップチームのみならず、下部組織からの一貫した札幌スタイル構築を期待し、異例の4年契約を結んだ。

 J1で真に戦えるクラブになるべく、札幌がペトロヴィッチ氏を一貫指導の旗頭として迎え入れる。

30日、来季新監督に同氏が就く事が明らかになった。粘り強く交渉を続け、この日までに仮契約締結にこぎ着けた三上大勝GM(46)は「ミシャ(ペトロヴィッチ氏の愛称)には、札幌のサッカースタイルはこうと構築する役割を期待している」と、4年契約を結んで招へいした理由を口にした。

 96年にクラブが創設。翌97年にJFLで優勝し、98年にJリーグに初参戦した。しかし99年に1年でJ2に落ちると、以降はJ1にとどまったのは01〜02年の2年が最高。16年ぶりに残留を果たした来季、かねて目指してきた「J1定着」への第一歩として、広島、浦和で11年半の指導歴があるペトロヴィッチ氏にタクトを任せる事を決断した。

 トップチームの監督には就くが、そこにとどまらせるつもりはない。三上GMは「下部組織を含め、クラブ全体が同じ方向を向いて進んで行くためのメソッドを、ミシャには作ってほしい」と望んだ。目指すのは欧州のビッグクラブ同様の一貫したスタイル。札幌流を確立するための役割を、ペトロヴィッチ氏に託す。

 今季は既に残留を決め、30日時点で12位につけている。三上GMは四方田修平監督(44)について「現戦力でこの結果は高く評価している」と言う。ただ粘り強い戦いで勝ち点を拾えても、ボール保持率で相手を上回る試合はほとんどなかった。同GMは「J1で上位に行くためには攻撃面の向上は必要。そのためには外国人特有の厳しさとカリスマ性があるミシャが適任だと判断した」と交代に踏み切った要因を説明した。

 それも将来のクラブ像までを思い描いての決断になる。四方田監督に対してはペトロヴィッチ氏の下で指導者としての力量を上げてもらったうえで、将来の監督復帰を視野に置き、ヘッドコーチ就任を打診している。行き当たりばったりではなく、クラブ全体が強固な集団となるための監督交代。来季は札幌がJ1での安定勢力となるための、新たな一歩を踏み出す年になる。

 ◆ミハイロ・ペトロヴィッチ 1957年10月18日、旧ユーゴスラビア・ロズニツァ生まれ。60歳。現役時代はMFとしてレッドスター(旧ユーゴ)などで活躍。同国代表で1試合出場。引退後はSグラーツ(オーストリア)などの監督を経て、2006年6月にJ1広島監督に就任。12年からは浦和監督を務めるも、今年7月29日の札幌戦を0―2で敗れた翌日の30日に解任された。主な成績は16年にルヴァン杯優勝。天皇杯では広島と浦和で準優勝が各1回。

 ◆世界的ビッグクラブのスタイル 欧州ではオランダのアヤックスが有名。ユースチームから一貫して3―4―3のフォーメーションを採用し、全選手が戦術を共有している。また、能力に応じて昇格するピラミッド式の組織となっており、全体の底上げに成功している。スペインではバルセロナが独自の哲学でクラブを運営。下部組織から「スペースを作って、埋める」という意識を植え付け、トップチームまで全選手が同一のコンセプトでプレーしている

12/1(金) 5:04配信 スポーツ報知
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