マイナー契約では5995万円に抑制されてしまう。

契約金も安ければ、年俸もかなり安くなる。

なぜなら、同協定下ではとりあえずマイナーリーグ契約を結ぶことになるので、基本給はメジャー目前のAAA級でも年俸1万ドル前後(月給2150ドル×5カ月)。
期待通りに開幕までにメジャーリーグ昇格を果たして40人枠に入ることができても、この労使協定下ではメジャー最低年俸の54万5000ドル(5995万円)に抑制されてしまうからだ。

大谷のポスティング志願は、そういうことを事前に把握しての勇気ある「メジャー挑戦」だと思う。

前出の「MLB NOW」では米国人コメンテーターの1人が「彼(大谷)のようにお金なんて気にしない、とにかくメジャーでプレーしたいと言うのはとても素晴らしいことだ」と言ったように、
「金ではなく、夢を手にすること」を優先することを称賛する米国人もいるぐらいだ。
その志には本当に頭が下がる思いだ。

本来、選手会が異議を唱えてもいいはずだが。

だが、そういう米国人は少数派で、テレビで力説したバーンズのように大谷を破格の安値で獲得できるメジャー球団、
ポスティングの譲渡金の上限2000万ドル(約22億4000万円)を得る北海道日本ハムに比べると、
大谷が得るもの=契約金4億円以下+年俸6000万円以下というのが少なすぎると考える人の方が圧倒的に多い。

これは本来、日本プロ野球の選手会が異議を唱えてもいいはずの事項だと思うが、今のところそういった動きは見当たらない。
一方、メジャーリーグの選手組合は、大谷が雇った代理人と面談して
「25歳未満でメジャー挑戦をすれば良い契約はできないが、金より夢が大切なんだ」という確認が取れればそれでいい。

ただし、労使協定は何よりも尊重されるべきものなので、代理人には国際ルールの抜け道を探すことをさせぬよう念押しするはずだ。

最良の形はアルトゥーベ、カーショウから学べ。

だから最良のシナリオは、大谷が単年契約で契約満了後にフリーエージェントとなる項目を付け加えることだが、
譲渡金に2000万ドルも注ぎ込むメジャー球団がそれを了解するわけがない(したら驚きだ)。

だから、複数年契約は仕方ないとしても、1年目からメジャーリーグで活躍して、なるべく早い段階で契約の延長、つまり見直しをすることだ。

たとえば今年のワールドシリーズ王者アストロズの中心選手ホセ・アルテューベ二塁手は、
年俸調停権を得るメジャー3年目の2013年に(翌年からの)4年1250万ドルの複数年契約を交わして現在に至っている。
アルテューベがその後、4年連続シーズン200安打以上、3度の首位打者を獲得したことで、それでも格安契約になった。