鈴木明子が占う平昌五輪の女子2枠争い。選手はムチャクチャ大変です

■2017-2018シーズン展望(女子編) 

 フィギュアスケートの女子の日本代表枠はふたつ、平昌オリンピックに出場できるのはたったのふたりだけだ。ソチオリンピック以降、女子をリードしてきた宮原知子が故障で欠場している間に、若手たちが着実に力をつけている。
代表選考がかかる全日本選手権まであと1カ月あまり。4年前の全日本選手権を制し、ソチオリンピックに出場した鈴木明子さんが熾烈な代表争いを分析する。

カナダ大会がGPデビュー戦となる本田真凜――ソチオリンピックに出場したフィギュアスケートの女子日本代表は3人とも引退してしまいました(浅田真央、鈴木明子、村上佳菜子)。今回、どの選手が出場権を獲得しても、初出場になります。

鈴木明子さん(以下、鈴木) 今回、女子の日本代表の枠は2ですが(ソチは3枠)、この少ない枠を争うことによって、日本の女子のレベルも上がっていくでしょう。
若い選手が多いので、平昌オリンピックの先につながっていくはずです。そういう意味でも大事なシーズンになると思います。

 出場争いの中心にいるのは三原舞依選手、樋口新葉選手、ジュニアから上がってきた本田真凜選手、坂本花織選手など。宮原知子選手は、股関節のケガからどの程度復活しているのか、そこが心配ですね。

――21歳の本郷理華選手が最年長。みんな、若い選手ばかりです。

鈴木 オリンピックを経験した選手はひとりもいません。出場権を巡る戦いの激しさを知らないことが強みになる選手もいれば、そうでない選手もいるでしょう。若い選手ばかりだから、シーズンはじめからアクセル全開で飛ばしています。

――故障がなければ、当然、宮原選手が代表争いの先頭に立っていたのでしょうが……。

鈴木 宮原選手の場合は、故障した箇所がどれだけ癒えているかが問題です。ソチオリンピック以降、ずっと彼女が日本の女子を引っ張ってきましたから、体調が万全であれば一番の有力候補です。
ただ、試合から離れてしまっているので、不安が残ります。おそらく、全日本選手権が一発勝負になるでしょう。そこで力を出し切ることができるかどうか。
宮原選手の堅実なスケートは、ものすごい練習量があってのもの。ケガによって、以前ほど追い込むことができていないのではないかと思います。試合までの積み重ねてきた量が少ないことがどう影響するのか。
股関節の故障は、上半身にも下半身にも影響があり、状態と相談しながらの練習になると思います。今まで一歩一歩着実に歩んできた宮原選手ですから、このケガの経験から得たものを氷の上で見せてくれるのではないでしょうか。

――混戦になると、三原選手、樋口選手に注目が集まりますね。

鈴木 三原選手も樋口選手もシニアは2年目なので、勢いもあるし、怖さも知っています。
三原選手は、彼女に非常に合ったプログラムを用意していますし、一番、安定感があります。守りに入ることなく、自分ができることを出せれば、代表に近づくだろうと思います。
樋口選手も、「らしさ」の出るプログラムをつくっています。もともと持っているスピード感、ハツラツとした感じが前面に出ています。
ただ、崩れるときには大崩れする選手なので、好不調の波の幅をいかに小さくできるか。彼女も、オリンピックに近い選手であることは間違いありません。

>>2-5あたりに続く)

web Sportiva 2017.10.28 元永知宏●取材・文
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画像:カナダ大会がGPデビュー戦となる本田真凜
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