キャストでは、ジャニーズ事務所やオスカープロモーションなど、これまで多くの若手俳優を主演に送り込んできた芸能事務所の主演俳優が減っているという事実もあります。
これは視聴者が「俳優にはルックスよりも演技力や演技実績を求める」傾向が強くなったことも影響しているでしょう。

テレビ番組を作る人も、出る人も、見る人も、中高年化する一方。長きにわたってエンターテインメントのトップに君臨し続けるために、
目の前の売り上げを追い求め、新規顧客の獲得や若手の育成を後回しにしてきたことが、ここに来て業界や各局にダメージを与えているのです。

ビジネスシーンでも、「トップに君臨している企業ほど、その座を守ることばかり考えてしまい、ピークアウトを招いてしまう」というケースは少なくありません。
テレビ業界の苦境は、「成功の陰に潜む課題から目を背けない」「時代の変化に対応し、未来の種をまき続ける」ことの大切さを物語っているように見えます。

■衆院選速報番組に見るニーズの偏り

ここではドラマの話を書きましたが、情報番組やバラエティ番組も状況に大差ありません。
スタッフ、キャスト、視聴者のすべてで中高年化が進み、ときどき若手が頭角を現しても短期間で埋没してしまうというケースがよく見られます。

思えば22日の20時以降は、ほぼすべてのテレビ局が衆議院総選挙の速報番組を放送していました。
国の重大事とはいえ、「4〜8時間超にわたって、業界全体で横並び放送をしなければいけないのか?」は別問題。
若年層に限らず、中高年層のなかにも「ほかの番組を見たかった」という人は少なくないでしょう。
このあたりに潜在的な視聴者ニーズに応えきれないテレビ業界の危うさが見えるのです。

ツイッターなどSNSの動きを見ると、若年層を中心に「やっぱりテレビは面白くない」「ネットならいろいろ見られて楽しい」という極端な色分けをしていました。
「テレビは中高年層が見る古いメディア」と見なされないための変化が求められているのは間違いないでしょう。