では、ラグビーW杯日本大会に向けた「現在地」はどこなのか探ってみることにしたい。

去る9月19日には開幕2年前を記念し、Shibuya109でW杯優勝国に与えられるトロフィー「ウェブ・エリス・カップ」がお披露目されるイベントが華やかに行われた。
ラグビーの国際統括団体であるワールドラグビーのラグビーワールドカップの統括責任者、アラン・ギルピン氏が登壇し、華を添えた。

また、同時期に来日したワールドラグビーのトップ、ビル・ボーモント会長も、「開幕2年前の節目は、ホスト国と世界中のラグビーファンにとってエキサイティングなマイルストーンとなる」とメッセージを寄せ、
開催各都市をカップが巡回することについて「全国的に行われる特別な行事は、ホスト国である日本の人々に対し活気を与えるきっかけになることを喜ばしく思う」とコメントしている。

ちなみにカップは現在、トップリーグの試合会場を巡回中で、11月4日に日本代表がオーストラリアと戦う試合会場となる日産スタジアムで披露されるのがフィナーレとなる。

気になる対戦の組み合わせだが、全48試合の具体的な開催会場と試合日程は11月2日に改めて発表される運びだ。すでにグループリーグのプール組み分けは決まっており、
日本代表はアイルランド、スコットランドほか2チーム(今後のプレーオフの経過によって決まる)と当たることになっている。

ただ、開催会場や試合日程は本来、9月中に発表される予定だった。日程の変更について、W杯組織委は「2年前イベントが9月下旬から各地で行われるが、
その最後を飾る行事として決勝戦の2年前となる11月2日に試合日程と会場の発表を行うことにした」と説明している。この日には、チケットの価格をはじめとする販売概要が明らかになる運びだ。

これまでにチケット申し込みの公式サイトが開設され、購入希望者は事前登録ができる。「試合開催の自治体に住むファン向けの先行抽選販売」をうたっており、地元での盛り上がりを期待する格好となっている。


■雲行きが怪しくなってきた

「日本のみなさんは準備がずいぶん早いですね!」

イングランド大会で盛り上がる開催自治体でヒヤリングをすると、どの都市でも担当者らの間から判で押したように驚きの声が上がった。
英国の某自治体でW杯実行委員会の責任者を務めた女性幹部は「まだ日本大会まで4年もあるのに、運営の詳細に関することにまで質問されて……。熱心さに心打たれました」と語っていたことを思い出す。

ところがここへ来て、雲行きが怪しくなってきた。日本がお祭り気分で2年前イベントを迎えていた頃、各国のメディアでは厳しい論評が伝えられていた。

「ラグビーW杯準備のスケジュールに遅れ」(米スポーツチャンネルESPN)

「ワールドラグビー、日本の運営側に『準備を軌道に戻すよう』伝える」(英紙テレグラフ)

「日本、2019年W杯準備の速度を上げるよう勧告受ける」(南アのSport24)

このように外国メディアには、日本大会の準備状況に黄信号を点す記事が目立った。そこで、筆者が開催2年前を機に、関係者に改めて話を聞いたところ、
「ワールドラグビー側から準備状況に関し、かなり厳しい指摘を受けているのは事実」との回答が返ってきた。どこにどんな問題があるのだろうか。

W杯の統括責任者であるワールドラグビーのアラン・ギルピン・トーナメントディレクターは、「開幕2年前の状況として、われわれが期待するレベルに達していない部分がある」と準備の遅れについて懸念。
特に各チームが調整のために使う公認キャンプ地について「選手がベストの成果を出すための施設として世界的水準にあるべき」としたうえで、「組織委はキャンプ地の選定作業を急がなければならない状況にあることを認識してほしい」と促している。

つづく