6大会連続6度目のW杯本大会出場を決めたサッカー日本代表。活躍したのはこれまで代表を引っ張ってきた本田でも香川でもなかった。

 主役の交代を印象づける活躍ぶりだった。

 8月31日に埼玉スタジアムで行われたサッカーW杯アジア最終予選のオーストラリア戦。日本代表は、これまで予選で5分け2敗と勝利のなかった宿敵を2─0と下して6大会連続6度目の本大会への切符を手にした。

 引き分け以下に終われば、出場権の行方はアウェーでのサウジアラビアとの最終戦までもつれこむことになる。どうしても勝利が欲しい一戦で、ゴールを決めたのはこれまで代表を引っ張ってきた本田圭佑(31)でも香川真司(28)でもなかった。先発に抜擢された若手が躍動すると、41分にFW浅野拓磨(22)が先制、82分にはMF井手口陽介(21)が追加点を決めた。

●たまらず「よっしゃー」

 本田に代わって右FWで先発した浅野の貢献も光ったが、勝負を決める2点目のゴールを挙げただけでなく、中盤の一角として攻守両面で圧巻のパフォーマンスを見せたのは、チーム最年少の井手口だった。

 昨年11月に初めて代表に入り、今年6月のアウェーでのイラク戦では初先発も果たした井手口だが、出場は3試合目。経験不足を理由に先発起用を疑問視する声もあったが、序盤から不安の声をかき消すプレーを見せた。

 開始わずか数秒でインターセプトを見せるなど守備では90分間相手にプレッシャーを与え続け、攻めては何度も長い距離を走ってゴール前に顔を出した。

 追加点を奪った場面では、左サイドでボールを持っていた味方をすばやくフォローし、こぼれ球を拾うと相手DF2人を前にしながらも、その隙間を縫うように豪快なミドルシュートを突き刺した。代表3戦目での初ゴールにたまらず「よっしゃー」と雄叫びを上げたが、布石はその数分前にあった。オーストラリアに攻め込まれる苦しい時間帯のなか、カウンターから相手ペナルティーエリア内に侵入すると、右足でシュートを放ったが、ゴールライン上で相手DFにクリアされていた。

「あれを決められなかったことで、より自分が『決めてやる』という気持ちで臨めたのがよかった」

つづく

9/5(火) 11:30配信 AERA
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170904-00000092-sasahi-socc