いまどき、まだこんな理不尽な「体罰」がまかり通っていたとは驚く。夏の甲子園に2度出場している岐阜の強豪、私立美濃加茂高校野球部で
2年生部員の生徒(16)がほとんど水分もとらないまま100メートルを120本走らされた。どんな炎天下でも練習中の水分摂取はご法度とされた「スポ根」時代の発想だ。

 生徒は練習の態度などに問題があったとして、はじめは100本走るよう命じられ、暑い最中の午後1時から約2時間かけて80本走ったところで水を飲んだ。
しかし、「許可をとっていない」とさらに30本追加され120本以上走って倒れた。重度の熱中症で緊急搬送され集中治療室で5日間治療を受けたという。

 指導者である前に人としてやってはいけないことだ。命じたのは非常勤講師でスポ根とは無縁の26歳の若いコーチだった。「高いレベルの大学野球の経験者で
熱心さのあまり行きすぎた指導になった」と学校は説明したが、死亡という最悪の事態を招きかねない非科学的な罰走と、高いレベルの大学野球は結びつかない。

 先月には新潟県の加茂暁星高校で野球部のマネジャーを務める2年の女子生徒(16)が練習後、3キロ離れた学校まで部員と一緒に走って帰り、到着直後に
倒れ2週間後に亡くなった。いつも乗るマイクロバスにけがをした部員が乗ったため「走って戻れ」と監督に指示されたという。これもスポ根時代のような理不尽さを感じた。

 岐阜の生徒は1週間後に退院しコーチは無期限指導停止となった。しかし、近くにいて事態を把握していた監督(33)は厳重注意というのも腑に落ちない。
むしろ、監督が全責任をとって辞任すべき重大事案ではないのか。

http://www.sanspo.com/etc/news/20170830/amk17083002560001-n1.html