俳優・舘ひろし(67)と女優・黒木瞳(56)のダブル主演映画「終わった人」(来年公開、中田秀夫監督)のロケがこのほど都内で報道陣に公開された。定年を迎えた男の悲哀と奮闘、淡い恋を描くロマンティックコメディー。不倫問題が世間を騒がす昨今だが、黒木演じる妻の「浮気を知りつつ何も言わないキャラクター」について、舘は「男にとってファンタジー。寛容な女性はいいですね」と目尻を下げた。

 閑静な住宅街に立つ古いアトリエで撮影されたのは、淡すぎる恋が静かに終わるシーンだった。

 定年を迎えた壮介(舘)は、新たに通い始めたカルチャースクールで久里(広末涼子)と出会い、ひそかな恋心を抱いていたが、なんと妻・千草(黒木)と一緒にいる時に鉢合わせ。しかも、久里は親戚のトシ(田口トモロヲ)の恋人だったことが発覚―。何ともビミョーな空気が流れるシーンに中田監督の「カット!」がかかると、キャスト間に自然と笑顔が広がった。

 舘「10代の頃に実は経験がありますけど、女性同士が鉢合わせになると男は無言になる(笑い)。美女3人に囲まれて撮影は楽しいですけど、役柄としてはタジタジですね」

 黒木「お2人(舘、広末)のドギマギが楽しめました」

 広末「プチクライマックスシーンですけど、楽しく演じさせていただきました」

 エリートコースを外されて子会社で定年を迎えた夫と、後ろ向きな夫と距離を取り始める妻―。映画初共演の舘と黒木が熟年夫婦を演じる大人のロマンティックコメディーだ。芸能界や政界では不倫、離婚、訴訟など夫婦間に亀裂が入る話題が多いが、本作の妻は、むしろ「恋でもしたら?」と夫を送り出すような女性として描かれる。

 舘は黒木が演じる妻のキャラクターについて満面の笑みで「浮気を知っていても何も言わない女房…。男にとってファンタジーでしょ。僕はやっぱり寛容な女性が好きですね」。一方の黒木も「女性の立場から、男のかわいらしさ、こっけいさ、切なさをいろんなものが垣間見れますね」と懐の深い言葉をもらす。本来なら、夫婦の間に割って入るはずの役柄の広末は「お2人を見て、世の中のたくさんのご夫婦の絆が深まればいいなと思います」と実感を込めて語った。

 ラストには熟年夫婦の新しい愛の形を提示する作品は、今月中旬にクランクアップする予定だ。

 ◆「終わった人」 定年を迎え、周囲から「終わった人」と見られるようになった壮介(舘)は、美容師として忙しく働く妻・千草(黒木)から距離を置かれるようになったが、勉強に、再就職に、淡い恋に奮闘する―。内館牧子さんによる原作小説は15年に発売され、18刷15万部を売り上げるロングセラー。「リング」などホラー作品で知られる中田監督がメガホンを執る。

ソース
http://www.hochi.co.jp/entertainment/20170802-OHT1T50007.html
和気あいあいの撮影現場(左から)田口トモロヲ、広末涼子、黒木瞳、舘ひろし、臼田あさ美
http://www.hochi.co.jp/photo/20170802/20170802-OHT1I50004-L.jpg