日曜日、代表選手が1人もいなくなったFC東京と、甲府との一戦を味の素スタジアムへ観戦に出かけた。試合は開始1分数十秒でFC東京が先制する。両軍の戦力を踏まえれば、FC東京が時間の経過とともに差を広げてゆくだろうと考えられた。少なくとも2点差以上の勝利は堅いだろうと。

 ところが、FC東京のペースは上がらない。挙げ句、前半44分、不用意なプレゼントパスを甲府に献上。同点に追いつかれてしまう。後半は、1−1の状況が続くと、次第に甲府にカウンターを浴び始める。終了間際、FWウイルソンがゴール前でGKと1対1になる大チャンスを外さなければ、FC東京は負けていた。ホーム戦にもかかわらず、開始1分過ぎにゴールを奪い、前半44分に同点ゴールを奪われ、ヒヤヒヤしながらタイムアップの時を迎えるという全く褒められない試合展開。相手の甲府は降格候補で、しかも5バックで守る決して攻撃的ではない、非今日的サッカーだ。

 ウイルソンがGKと1対1になったシーンでは、交代出場の中島翔哉がピッチの真ん中で、カウンターを呼び込むような教育レベルの低い軽率なパスミスを犯していた。甘くて緩いサッカーとはこのこと。試合後、ゴール裏に陣取るFC東京サポーターが、自軍に大きなブーイングを浴びせたのは当然だが、試合後、会見場に現れた篠田監督は、試合の状況をなぞるばかり。どこか第三者的で不明快。次に期待できそうなムードを抱くことはできなかった。

 情けない。FC東京の年間予算は浦和に次いで第2位だ。決して貧しいクラブではない。代表選手こそいなくなったが、選手の顔ぶれはリーグ一。今季も、大久保、永井、ピーター・ウタカ等を獲得。どこよりも派手な補強をした。優勝候補の本命と言われておかしくないチームだが、当事者にそうした意識は薄いようだ。

 そもそもこのクラブ。看板が大きい。FC東京。Jリーグで一番メジャーな名前だ。ガンバ大阪、セレッソ大阪とは違う。東京ヴェルディとも違う。地域名に掛かるセカンドネームがない。それに該当するものを敢えて述べればFCになるが、例外を認めてもらっている感じだ。

 FC東京と言えば、東京1200万人を代表する「東京代表」同然のチームだ。思い切り、大きな名前を掲げているわけだが、FC東京にはそうした認識が薄いようだ。名前の重大さを理解しているようには見えない。

 言い換えれば「東京代表」だ。中立的な立場にある一介のライターでなければ、サポーターになりそうなほどだ。

 しかし、この試合は、日曜日の午後4時という観戦環境に恵まれた中でキックオフされたにもかかわらず、集まった観衆は18953人。スタンドは半分程度しか埋まらなかった。名前はビッグだが、その割には人気薄。ゴール裏のサポーター席は、それなりに盛り上がっているが、一般席は静かめだ。内容も成績も華の都、東京らしからぬ、中途半端な位置を彷徨っている。長年にわたり。

 結果が出なくても、サッカーが日本で一番面白くて、それを売りにするのだとの開き直る術があれば、それはそれで評価できるが、万事が中途半端では、東京の看板は色褪せる。それ相応なチーム名にしないと逆に恥を掻く。都民が好意的な目を向けることはない。

 練習場があるのは「小平」だ。一方、スタジアムがあるのは「調布」市。最寄り駅は京王線の「飛田給」だ。西武多摩川線の「多摩」という駅も、徒歩15分の距離にある。さらに、由来のある地名を探すならその昔、東京ガスの工場があった「豊洲」も浮上する。もっと言うなら「京王」もつい許したくなる名前だ。「東京」より収まりのいいローカルな名前は確実に存在する。

 東京を名乗るなら、そのメジャーな名前に恥じない華も実力も備えた王道を行くクラブを目指すべきだし、それが難しいなら東京の旗を降ろし、ローカルな名前を掲げ、装いも新たに出直しを図るべき。

 このチームには、覚悟が求められているのではないかと、覇気のない対甲府戦を眺めながら、空想に耽ってしまった。

 特殊な領域にはまり込んだ状態にあるFC東京を、このまま放置しておくのはマズい。FC東京のあり方は、代表チームに次ぐ重要なテーマ。FC東京を名乗るなら、日本代表より強く、先進的だと言われるぐらいであってほしい。日本を越える東京。それほどでないと東京人は振り向いてくれないと思う。

http://news.livedoor.com/article/detail/13136960/

2017/05/31(水) 13:12:16.07
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