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 第一の事件は、昭和が終わりかけた1987年(昭和62年)12月に発生した。狙われたのはジャニーズ事務所に所属している人気アイドル歌手の近藤真彦で、
彼は前年の1986年11月に実母を事故で亡くしており、母が亡くなった事実は一部の関係者以外、明かされることはなかった。
 母の葬儀の後、近藤は日本レコード大賞を受賞することになるのだが、
その際、ジャニーズ事務所およびレコード会社に以下のような脅迫文が届いた。

 「近藤の母親の遺骨を預かった。返してほしくばレコード大賞を辞退しろ」

 驚いた近藤は母親の墓へ行ったところ、確かに墓が荒らされており、骨壷から母の骨が盗まれていた。

 近藤は、母の遺骨を取り返すため、レコード大賞を辞退しようか本気で悩み、実父に相談したが「受けるべきだ」と説得され、
また、「大賞を辞退して骨を取り返しても母は喜ばないだろう」と思い直し、レコード大賞で受賞曲『愚か者』を歌い切った。

 その後、近藤の母親の遺骨は何者かに盗まれたまま、2019年現在も帰ってきておらず、事件は時効となった。