ソフィアの創業者は理容師の中村揚一である。倶知安町に生まれ、貧しい家庭で育った中村は旺盛な向上心を持ち、1972年(昭和47年)、札幌駅近くのホテルに「サウナのある理容室」を開業。奇抜な店舗展開で、道内外に30店を構える「ソフィア中村チェーン」を築いた。

1980年代の半ば、拓銀は中村と接触している。拓銀は道内の成長企業発掘を進めており、ソフィアの評判を聞いて近づいたのだった。ソフィアのメインバンクは当初北洋相互銀行だったが、急拡大を続けるソフィアに北洋側が懸念を示していた。拓銀・ソフィア両者の思惑は一致し、ソフィアのプロジェクトに拓銀は潤沢な融資を行った。

特に札幌市北区における大規模再開発事業を打ち出し、まず1988年(昭和63年)にドイツのクアハウスをモデルとした健康リゾートホテル「札幌テルメ(現シャトレーゼ ガトーキングダム サッポロ)」を開業。1991年(平成3年)には、隣接地に地上11階建ての「テルメインターナショナルホテル札幌」の建設に着手、1993年(平成5年)に開業。さらには、ヤオハンと共同で巨大ショッピングセンター建設を計画するが、こちらはヤオハンの撤退により1994年(平成6年)に凍結。いずれも拓銀グループが資金を捻出し、総事業費1,000億円前後、総面積は90ヘクタールに及んだ。