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小幡 績 : 慶應義塾大学大学院准教授

2021/02/06 6:00
「祭り」はいよいよ最後のステージに入った
なぜなら、まだ上がっていないものは、くずぐらいしか残っていないのである。だからバブル末期には、普段人気のないものがバブルになる。そういうものはもともと価格水準が低いから、上げ余地が大きく、激しいバブルになりやすい。まともな投資対象の株式では、それは日本株だろう。このところ世界で出遅れていた日本株が上がってきたのは、そういうことだ。宴、祭りは「最後のステージ」に入った。

一連のロビンフッド騒ぎが「バブルの断末魔の叫び」であることは、バブルの最終段階のアナウンスメントだが、ロビンフッドのおかげで、さらにバブル崩壊の条件はそろってしまった。それは、売り方をすべて壊滅させたことである。もう買い手しかない。売り手がすべてギブアップした。もう上がるしかない。

では、むしろこれからバブルは加速するのでは?と思われるだろう。
そのとおりだ。だからこそ、崩壊するのである。

ここから買うのは、狂った投資家、いや正確な言い方をすれば異常に強気の投資家しかない。売り手はいないから、出来高が少ないまま、ハイスピードで上がっていく。売る人がいない、ということは、この商いが成立するためには、誰かが売りに回らなくてはならない。それは誰か。今まで買ってきた人であり、今買っている人である。彼らが売れば、下がる。下がると、今買っている人である。バブルのピークとうすうす感じながら買った人が損失を抱えれば、パニックになって売る。

まさに、最後の最後にゲームストップ株を買ったロビンフッダーがパニックになっているように、インテリのお高くとまっている機関投資家たちが売り始める。含み損水準まで下がってくる。慌てて売る。このような「売りスパイラル」がすべての株、とりわけ上がりすぎていた、アメリカのハイテク株で起こるのである。

ゲームストップ株の姿は、今後のアメリカ大型株と同じであり、数カ月後の運命なのである