96歳、上智大学のホセ・ヨンパルト先生からカトリックの洗礼を受けられた折、團藤先生は「これで準備ができた」「後を頼む」とおっしゃられました。

 そのように伺ってもご専門の法学には全くの素人の私です。しかしできることは尽くそうと私なりに決意した、その延長に、今回の事件への私なりの対処もあります。

 憲法75条には「国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。但し、これがため、訴追の権利は、害されない」とあります。

 内閣総理大臣自身は実質的に刑事訴追されることがありません。

 逆にその特権的な立場を自覚し、不法行為などそもそも論外、そのように疑われるような振る舞いも避けねばなりません。

 ちなみに私自身ですら、何一つ問題がなくても、おかしな誤解を誘発しうるような事態があれば大きく問題を回避する原則を徹底しています。

 憲法によって刑事訴追を免れる、いわば憲政のブラックホールのような立場にある内閣総理大臣は、不法行為はもとより、それと疑念を持たれるような行動も、一切あってはなりません。

 團藤先生は残念ながら2012年6月25日、98歳で逝去されました。

 そのお見送りもお手伝いさせていただきながら、先生がお元気であればおっしゃられたであろう基本は、自分に可能である限り、襟を正しけじめをつけていくことを思い定めています。

 ここでは別論に具体的に詳細を記しませんが、私が長年関わってきた大きな刑事事件・刑事裁判に関わる問題についても、徹底してきたことは、長年の読者にはよくご存じのところと思います。