今年の場合も、内閣府は予算案の審議中に、予算の前提を大幅に上回る1万8000人前後の参加者を想定して
飲食物提供などの業務の入札を公告し、予算が成立した数日後、予算の倍以上の額で業者と契約していた。

 「桜を見る会が4月に開催されることを考えると、予算成立前の発注はやむを得ず、また国会の査定や
議決対象になっているのは、内閣府全体の一般共通経費などの大きな支出項目で、法律的には問題はない」と、
政府は説明する。

 だが、予算審議中にその予算を大幅に上回る発注をするのは、国会軽視でもあり、長年、繰り返してきたことで
感覚がまひした結果だろう。

 「支出が予算を上回るのはわかってはいたが、内閣府が自分たちの経費を削ってまかなうと言うわけだし、
財政事情が厳しいときにこちらから予算を増やせとも言えない」と、予算査定をしてきた財務省は言う。

 だが、不透明な予算支出を黙認してきたことへの批判は免れない。この数年の予算編成では社会保障費の
自然増をいくらに抑えられるか、と血眼になり、また医療などの自己負担引き上げの必要性を訴えてきた。

 その最中に、額は少ないとはいえ、首相や与党には大甘な支出が行われていたことに、納得する国民は
いないのではないか。