● 閣僚は「しっぽ切り」でしのいだが 「疑惑」にこたえる立場に

 一方でホテル側の「値引き」の背景に、夕食会費用を安く請け負う対価として、首相サイドの別の催しなどの
仕事を回してもらうといった動機があったのでは、との声もある。

 即位の礼に関する一連の宴席が開かれるなかで、10月23日にこのホテルでは、夕食会の会場と同じ場所で
来日した外国首脳を招いた首相夫妻主催の晩さん会が開かれ、その費用は1億7200万円だったという。

 一連の疑問に対し、ホテル側は、「料金は、顧客によってさまざまな要望や条件があるので一概には言えない。
条件によって料金が変わるかどうかも言えない」という。ただ、夕食会費用など、取引の内容を記録した明細書は
保管しており、「主催者の要望があれば再発行をする」という。

 9月に発足した安倍改造内閣では、公設秘書が有権者らに香典やメロンなどを配った疑惑が報じられた菅原一秀
経産相が、また妻の河井案里参議院議員が選挙運動でウグイス嬢に規定の金額以上の日当を払った問題で
河井克行法相が、10月下旬に相次いで辞任したばかり。

 第2次安倍政権以降では、関連政治団体が寄付金や観劇会の収入を過小に計上した政治資金規正法違反問題で
小渕優子経産相が辞任したのを皮切りに、健康が理由の1人を除き計9人が金をめぐる問題や「失言」などで、
辞任してきた。

 その都度、安倍首相は任命責任を指摘されながら、疑惑の説明責任を閣僚に求め、「トカゲのしっぽ切り」で
政権を維持してきたが、今回は自らの疑惑に対して、説明責任どころか、「潔白」を証明する必要が出てきた。