首相の説明では、夕食会を含め、旅費や宿泊費などは自己負担で各参加者が旅行代理店に支払い、
夕食会の費用は、会場の入り口受付で安倍事務所職員が集金し、ホテル名義の領収書をその場で
手渡した。ホテルへの支払いは受付終了後、すべての現金をホテル側に渡すという形で行ったという。

 首相は料金について、「大多数がホテルの宿泊者という事情を踏まえてホテル側が設定した価格」
と語り、会費の補填を否定するが、参加者数や徴収した会費の総額を示す明細書はないという。

 政治資金収支報告書への記載についても、「後援会や安倍事務所としての収入や支出はなく、
収支報告書に記載する必要はない」としている。

 だが元東京地検検事の郷原信郎弁護士は、「夕食会がホテル主体で行われたかのような首相の
説明には、いくつかの疑問点がある」と話す。

 会費の補填について、安倍事務所側が「1人5000円」ではホテル側への支払いが足りないことが
わかっていて、それを補填するために想定参加者数を水増しして、実際の参加者の支払いとの差額を
負担した可能性があるとみる。

 「そもそも一流ホテルが代金を受け取る前に領収書だけを発行することはあり得ない。ホテル名義
の領収書が渡されたのなら、事前に安倍事務所の職員から、想定参加者数をもとにその領収書の額面
に見合う金がホテル側に支払われたはずだ」

 その場合は、ホテルへの支払いは後援会の「支出」として、参加者から受領した会費は「収入」
として、後援会の収支報告書に記載する必要があると話す。

 また「参加者個人とホテル側の間で費用をやりとりした場合には、首相夫妻や事務所の関係者も
会費を支払う義務が生じる」。

 未払いならその金額分の飲食が無償でホテル側から提供されたことになり、一方で払っていた
場合には、首相側の収支報告書に支出を記載しないと、政治資金規正法に抵触するという。