自民党は五月、ゲーム「ファイナルファンタジー」シリーズのイメージ画で知られる天野喜孝さんが首相らを侍風に
デフォルメしたイラストを発表。講談社の女性ファッション誌「ViVi」とタイアップし、若い女性を登場させた
ネット広告を打ち出すなど、ソフトな宣伝が話題を呼んだ。

 小泉進次郎という世襲政治家のプリンスが配偶者を得て、世の中の期待に応えていく−こんな政治的意図が隠れた物語づくりに、
メディアは結果的に加担したと水島氏はみる。「ニュースとして祝福一色で良かったのか、違和感を覚える人もいただろう。
今後、検証していくことが必要だ」

◆ジャーナリストら違和感

 官邸での「結婚発表」について、政治ジャーナリストの角谷浩一さんも「発表する場がなぜ官邸になるのか、説明がつかない。
極めて違和感がある」といぶかる。「自民党の厚生労働部会長なら部会の中で報告すればいいだけで、夫婦そろって首相や官房長官
にまでお披露目しにくることなのか。周囲の誰かの助言に乗ったのかもしれないが、官邸を政治的に利用したという点は否めない」
と指摘する。

 上智大の音好宏教授(メディア論)は「安倍政権は好意的に取り上げられるメディア露出を増やして支持率を上げることをずっと
やってきている。官邸での発表は、政治的に存在感を示したい小泉氏側と利害が一致した形だ」と分析。「政治家にとって結婚は
極めて政治的な問題。本来、2世議員の問題など報じるべきことがあるのに、今回、二人のなれそめなどに終始している。お祝いは
しても、政治権力を監視する意識を持って報道すべきだ」と憂慮した。 (小倉貞俊、石原真樹)