移民拡大の本丸「偽装留学生」の闇 "出稼ぎ”を食い物に…バブルに沸く日本語学校業界の実態
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/243068

 多額の借金を背負い、アジアの新興国から出稼ぎ目的で来日する“偽装留学生”たち――。彼らの急増によって「バブル」に沸いているのが日本語学校業界だ。

 日本学生支援機構(JASSO)によれば、日本語学校に在籍する留学生は2017年5月時点で約7万9000人に達し、12年の約2万4000人から急増している。日本語学校の数も10年時点の
2倍近い700校を超え、私立大学の数をも上回るまでになった。

■でっちあげ書類も知らんぷり

 日本語学校の設立は大学や専門学校よりも簡単だ。半数以上は株式会社経営の学校で、人材派遣会社などの参入も相次いでいる。日本語学校で受け入れた留学生にアルバイトを斡旋すれば、学費と
合わせて二重に稼げる。入管法の国会審議でも、共産党議員から「株式会社立」の日本語学校を問題視する声があった。

 しかし、問題は株式会社の経営かどうかに限ったものではない。学校法人が営む学校でも大差ない。

 留学ビザの申請手続きは、留学生本人に代わって日本語学校が担う。留学希望者がブローカー経由で送ってくる書類を入管当局に提出し、ビザが下りる仕組みなのだ。書類には希望者の親の年収や
預金残高など、でっち上げが明白な数字が載っている。学校側が見破るのは簡単だ。しかし、知らんぷりをして入管当局へと持ち込む。留学生数を増やし、ビジネスを拡大するためである。

 日本語学校は定員の8割を満たしていれば、翌年には5割の定員増が認められる。定員が増えれば、それだけ利益も上がるのだ。

「一部の」悪質な日本語学校に限った話ではない。筆者の取材してきた限り、偽装留学生を拒絶している学校の方が珍しい。


 ひどい学校になると、留学生から在留カードやパスポートを取り上げる。在留カードなどの取り上げは以前、実習生の間で問題となった。実習先の企業などが失踪防止のため行っていた人権侵害だ。

 同じことが今、日本語学校で留学生に対して横行している。留学生はビザ更新時、在留カードとパスポートを日本語学校に提出する。その際、学費を滞納した留学生の在留カードを没収し、
金を払うまで返さないというやり方だ。

 留学生が日本語学校に在籍できるのは最長2年である。「週28時間以内」を超えて違法就労しても、母国で背負った150万円前後の借金を完済できる者は少ない。そこで彼らは“進学”し、
さらに日本で食い物にされていく。

(つづく)