●9条をいじることに終始、改K議論の「しょぼさ」

――安倍首相は「憲法は国家の理想を語るもの」だとして、「権力を縛るもの」とする解釈に否定的な発言をしている。

荻上:安倍首相の主張は1%は正しいけれど、99%は誤りです。憲法は国家の理想を実現させるための制度を定めるもので、その理想とは政治家の理想ではない。国民の理想を果たすために、国家にどの権力を与え、どの制限を
かけるのかを憲法で規定します。自民党の憲法改正草案は国権が強化されて、義務が増え、国民の権利は制限されるというもの。自民党の「理想」に対して、国民が判断を下すことはできます。ただ、国家の理想を語るのであれば
前文を変えるべきでしょう。戦後七十数年で何を反省し、何が足りなかったから憲法はこう変えますということを前文で記すことで国の理想を示す。前文に触れず、自衛隊違憲論をなくしたい一心で、9条をいじることだけに
終始していることが、今の改K議論のしょぼさを浮き彫りにしています。