それまで世界や理性を探求するだけであった哲学を改革し、現にここで生きている人間それ自身の
探求に切り替えた。自己との社会・世界・超越者との関係について考察し、人間は理性的生物でなく、
キリスト教的弱者にあっては恨みという負の感情(ルサンチマン)によって突き動かされていること、その
ルサンチマンこそが苦悩の原因であり、それを超越した人間が強者であるとした。さらには絶対的原理
を廃し、次々と生まれ出る真理の中で、それに戯れ遊ぶ人間を超人とした。

すなわちニーチェは、クリスチャニズム、ルサンチマンに満たされた人間の持つ価値、及び長らく西洋思想
を支配してきた形而上学的価値といったものは、現にここにある生から人間を遠ざけるものであるとする。
そして人間は、合理的な基礎を持つ普遍的な価値を手に入れることができない、流転する価値、生存
の前提となる価値を、承認し続けなければならない悲劇的な存在(喜劇的な存在でもある)であるとす
るのである。だが一方で、そういった悲劇的認識に達することは、既存の価値から離れ自由なる精神を
獲得したことであるとする。その流転する世界の中、流転する真理は全て力への意志と言い換えられる。
いわばニーチェの思想は、自身の中に(その瞬間では全世界の中に)自身の生存の前提となる価値を
持ち、その世界の意志によるすべての結果を受け入れ続けることによって、現にここにある生を肯定し
続けていくことを目指したものであり、そういった生の理想的なあり方として提示されたものが「超人」で
あると言える。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%92%E3%83%BB%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%83%81%E3%82%A7