2018年に入ってから、例年には見られない異変が全国各地で起きている。神奈川では、県内を流れる相模川を遡上するアユが大量発生している。神奈川県内水面漁業振興会の担当者がいう。
「4月1日から5月27日までで確認されたアユは4600万尾を超えました。1999年から昨年までの平均は400万〜500万尾です」
釣り人たちが大喜びしそうな話だが、なぜか地元住民からは「気味が悪い」という声があがっている。
「この辺りには『アユが豊漁だと地震がくる』という言い伝えがあるんです。関東大震災の前日、相模川や(同じ神奈川県内の)酒匂川で、アユが入れ食い状態になったと伝えられている」(地元の70代男性)
単なる偶然なのか、それとも──。京都大学名誉教授で魚類学者の中坊徹次氏が解説する。
「深海に生息するサメなどの頭部にはロレンチーニ器官という小さな穴が頭部にたくさんあり、獲物の位置をキャッチする電気センサーの役割をしています。そのセンサーが地震前の地殻変動で生じる電流などを察知している可能性は考えられる」
ただし、アユやイワシはそのロレンチーニ器官を持たない。
「アユやイワシが地殻の変動まで感知するという話は聞いたことがありませんが、全ての魚が低周波の音や水流を感知する『側線』という器官を持ち、魚は人間よりもはるかに感覚器官が優れている。
魚類学者の視点で見れば、アユの大量発生と地震に何らかの因果関係があるように思います」(同前)
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180604-00000015-pseven-soci