10月に予定される消費増税の延期説がくすぶる中、安倍晋三首相が4日、5月に続いてエコノミストらとの懇談を行った。出席者によると、増税に対する慎重な意見も出たという。
安倍首相は4日夜、第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミスト、大和総研の熊谷亮丸チーフエコノミスト、コモンズ投信の渋沢健会長、JPモルガン証券の阪上亮太チーフ株式ストラテジストの4人と会食した。5月16日の前回の懇談で招いた4人とは異なる顔触れ。
阪上氏自身は消費税について「運用をやっている人たちは消費税は上げない方がいいとの意見が多いことと、海外投資家からは今世界的に財政刺激策で景気を何とか支えようとしている時に、日本はなぜ増税をやるのかと良く聞かれると申し上げた」と説明。
「株式市場から見ると、景気であり、企業業績の環境というのは、かなり厳しさを増しているような印象があると申し上げた」と語った。
一方、熊野氏は「私は消費増税は実施すべきだという立場を明確にしているので、それで呼ばれたのではないか。敢えて増税の是非には触れず、景気の現状について話をした」と語った。
「企業は収益が悪化しても雇用調整は容易にはやらないので雇用は底割れしないし、消費も賃上げのお陰で底堅い。
2014年の消費増税後や16年の中国ショック時も、企業は雇用調整をしなかったので景気は底割れしなかった。そこがアベノミクスの6年間が過去と異なる点だと話した」という。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-06-05/PSLQBK6TTDS001