>>190
文香
「この地方では泥沼に丸太を沈めて足場とした水耕が行われていたのですが――
 その農法を行っていた農家に嫁がやって来ます。
 可愛らしい嫁で新郎や姑にも可愛がられていたのですが、
 この『ふかんぼ』での田植えは慣れない彼女にはなかなか捗らず日が暮れてしまいます。
 働き者の嫁は満月の月明かりを頼りに田植えを続けていたのですが、足場から足を滑らせてしまい……
 夫が不審に思って向かうと田植えもあと少しを残すところとなった『ふかんぼ』に嫁が被っていた菅笠が浮かんでおり
 水面には満月が映っていました。
 夏が来て雑草が生えても菅笠が浮かんでいたところには草が生えなかったと言います
 (逆にその部分だけはいくら除草しても草が生えてきたというパターンも)」